<中国>アリババの本拠地・杭州 引退したジャック・マー氏が築いた巨大IT城下町を見る

🇨🇳中国/杭州 2019年9月14日

中国最大のネット通販企業アリババ集団。

今やアマゾンを凌ぐ世界最大のEC企業となったアリババですが、その創業の地であり今も本社が置かれているのが、中国の杭州です。

2019年9月10日にカリスマ経営者ジャック・マー氏が会長職を退き、巨大IT企業の今後が注目する中で、アリババの本拠地・杭州を訪ねました。

そこは日本のスケールをはるかに上回る、文字通りの「アリババ城下町」でした。

地下鉄で「杭师大仓前站」へ

アリババは世界企業となった今も、北京や上海ではなく、ここ杭州に本社を構えていて、杭州全体がアリババの実験場になっています。

街のあちらこちらにアリババの拠点が設けられていますが、その中心地は、杭州中心部から西に離れた「阿里巴巴西渓園区」です。

果たして、どうやってそこに行くのか?

日本で下調べをしていた時にはタクシー以外の交通手段が見つかりませんでしたが、現地で行くと新しいルートができていました。

杭州市内全域で急ピッチで工事が進められている地下鉄です。

杭州の地下鉄「杭州地鉄」は、部分開業を含めて現在4路線。

少なくとも、16号線までが現在建設中もしくは計画中です。

その中で、ガイドブックにも載っていなかった地下鉄5号線が、今年6月に部分開業していました。

杭州中心部から1号線、2号線を乗り継いで、5号線の「杭师大仓前站」がアリババ本社の最寄駅となります。

今年部分開業したばかりとあって、5号線は車両も新しく、空いていました。

中心部からおよそ50分で、目的地に到着です。

降りたのは、「杭师大仓前站」。

日本風に書くと「杭州師範大学前駅」ということになるのでしょう。

その名の通り、駅の目の前には、「杭州師範大学」の広大なキャンパスが広がっていました。

杭州師範大学は、ジャック・マー氏の母校です。

彼は大学受験に2度失敗し、定員割れしていた杭州師範大学の英語科に何とか滑り込んだそうだ。

未来科技城

「杭师大仓前站」まで来たものの、アリババ本社の正確な場所はわかりませんでした。

中国ではグーグルマップの情報が古かったり、位置がずれていたりします。

おおよその場所を把握し、後は勘を頼りに歩きます。

杭州師範大学前をまっすぐ南に伸びる「高教路」を歩きます。

片側4車線の大きな通りですが、この日は週末ということもあって人も車も極端に少なく、おまけに一区画がやたらにでかいので歩いてもなかなか風景が変わりません。

この広大な街で、威力を発揮していたのが、シェア自転車。

いくつか種類がありますが、この白と水色の自転車はアリババ系の「ハローバイク」です。

一時もてはやされた中国のシェア自転車は激しい競争の末に多くの企業が破綻し、2018年に営業を始めた「ハローバイク」が一気に業界首位に躍り出たと言います。

アリババの決済システム「Alipay」で簡単にスマホ決済できます。

補助動力も付いているようで、シェア自転車の課題だったペダルの重さも解決しています。

若者たちが実に身軽にスイスイと走っていきます。

私も利用してみたかったのですが、Alipayへの加入が必要なようで、今回は断念しました。

AlipayとPayPayが連動するという話もあるようなので、それを待ちたいと思います。

高教路沿いには、真新しいビルがゆったりと並んでいます。

いく筋もの運河が流れていて、その向こうにはマンション群が立ち並んでいます。

しばらく歩くと「阿里巴巴」と書かれた工事現場が現れました。

阿里巴巴は、アリババの中国語表記です。

工事車両が出入りするゲートから中を覗くと、途方もなく広大なエリアがアリババの新キャンパス建設工事となっていました。

漢字から読み取ると、電子商取引のプラットフォームのソフトウェア設計センターということでしょうか?

「独身の日」の売り上げは1日だけで3.4兆円。

アマゾンを凌ぐ売上高を誇る世界最大のショッピングサイトに成長しただけに、システムは常に世界最高水準に保たなければならないのでしょう。

高教路が文一西路と交わる巨大交差点。

そこに並ぶ真新しい建物群には、「未来科技城」と書かれています。

この「未来科技城」こそ、アリババ城下町。

アリババ集団の本社を中心として、何もなかった郊外の土地に様々な先進施設や数多くのスタートアップ企業が集結した文字通りアリババの街なのです。

正確なことはわかりませんが、このエリア一帯は特別なIT特区になっていて、自動運転やAIタウン、ドローンによる自動配達など先進的な実験が認められているようです。

近い将来、複数の地下鉄が通り、中国版新幹線「高鉄」も乗り入れる計画だそうです。

アリババ本社

「杭师大仓前站」から歩くこと20分あまり。

アリババの本社が見えてきました。

単なる観光客なので、内部の見学はできませんが、周囲を歩くだけで興味深い点がいろいろ見えてきます。

まず驚かされるのは、その広さ。

「阿里巴巴西渓園区」と呼ばれる本社中心部だけで、東西1キロ、南北500メートル。

周囲を歩くだけで疲れてしまいます。

しかも、敷地の中に運河が流れています。

アリババ本社の東には、「西渓国家湿地公園」と呼ばれる広大な湿地があり、そこから多くの水路が流れ出ていて、その一本が敷地を貫いているのです。

その運河で釣りをする人たちもいて、IT企業のイメージとは違うのどかな印象があります。

自然の中にゆったりと作られた巨大キャンパス。

その敷地は今もどんどん拡張しています。

直営モール「亲橙里」

拡張を続けるアリババ城下町。

本社キャンパスの南側でも広大な建設工事が続いていました。

本社キャンパスの北東には、2018年に開業したアリババ直営のショッピングモール「亲橙里(チンチェンリー)」がありました。

モールの1階には、「天猫精霊」というお店があります。

天猫精霊は、アリババが力を入れているAIスピーカーだそうで、ここはAIスピーカーを中核とするスマートホームの体験館になっているようです。

その隣には、「淘宝心選」。

淘宝(タオバオ)はアリババのオンラインモールです。

淘宝心選はその淘宝が展開するブランドショップで、オンラインとオフラインを連携させた新しい小売の形式を模索しているようです。

モールの地下には、アリババが全国展開する次世代スーパーマーケット「盒馬鲜生(ファーマーションシェン)」。

深圳でも一度行ったことがありますが、最大の特徴はレジがないことです。

お客さんは商品をセルフレジに持っていき、Alipayでスマホ決済します。

新鮮な食材が豊富に揃い、水色のトレーナーを着た店員がスマホを片手に店内を回り、オンラインで注文された商品をバッグに収めていきます。

注文された商品が収められたバッグが天井に張り巡らされたレールを流れ、近隣ならば30分以内に自宅に商品が届くというのが「盒馬鲜生」の最大の売りなのです。

ネットショッピングの最大の弱点だった生鮮食品の宅配をアリババは実現しているのです。

そしてオフラインで店に来たお客さんに向けては、巨大な水槽を用意し、カニや伊勢エビなど新鮮な海産物を大量に販売しています。

買って家に持ち帰ることもできますが、その場で調理してもらって店内で食べることも可能です。

イートインスペースは400席。

海産物だけでなく、北京ダックなどいくつもの飲食店がイートインを取り囲んでいました。

オンラインの客にもオフラインの客にも特別なサービスを提供するアリババが考える「ニューリテール」の形がこの店に凝縮されているようです。

ショッピングモールを訪れた客の分析をリアルタイムで行なって、客層に合わせた広告を店内に表示する仕組みも行われているといいます。

アリババを創業したカリスマ経営者ジャック・マー氏が2016年に提唱した「ニューリテール」。

あれから3年が経過して、様々な試行錯誤の末にたどり着いた「ニューリテール」の形がここ「亲橙里」に凝縮されているようです。

それは決して完成形ではなく、お客さんの反応を見ながら日々姿を変えるスピードと柔軟性がすごいと感じました。

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